霊夢は、
夢の中に神仏やそれに関する御使いが現れて、
お告げや知らせをすることを一般的に言いますが
その他に、仙人や僧侶、亡霊、化身(龍・ヘビ)ばどが出現したり、
または神秘的な光や声が聞こえる場合もあります。
全体的に神秘的なムードに包まれていて、しかも心霊的な要素を含んでいます。
京都で老舗の精進料理を出している
「一休庵」の創業者小山滝之助さんの逸話を紹介します。
大正の頃、小山さんは禅風の料理茶屋を開業。
自らは頭を剃って坊主頭にし奥様は尼僧姿で接客をしたところ、当時それが大当たり。
7年を過ぎるころ、五条大橋の西詰に支店を出す計画としていた。
ころあいの良い土地をみつけ交渉してみると、先方は小山さんの足元をみては
売値を釣り上げられかなり参ってしまっていた。
「こんなに難航するのであれば、他の土地でも探したほうがよいかもしれん」と
小山さんは半分あきらめかけて、寝床に着いた夜、夢枕に大黒天が現れて…

「五条大橋の土地は買うべし。
そこより汝の守護神であるわが姿を発見しよう。
それを信心すれば、商売は一途に栄え、
万宝、家に満るべし」とのお告げがあった。
驚いた小山さんは、飛び起きると
奥さんに夢のお告げを話した
そうすると、驚いたことに奥さんも同じ夢をみてて
「驚いたわ!私も同じ夢をみていたの。
大黒様が地面に埋まっていて、出たがっているの。
もし、出してくれる人があれば、お礼に財宝与えると言うのよ」
すぐさま小山さんは、日ごろから信仰している松ガ崎の大黒様に参詣し
真相を確かめるべくおみくじを引いたところ
【願いこと叶う。交渉ごとは成立】の大吉。
いそいそと帰宅してみると、土地の持ち主が来訪していて、
土地を買って欲しいと言い出した。
話はとんとん拍子に進み土地を掘り起こしてみると、
不思議なことに白い砂が敷き詰めてあり、その中から本当に大黒天が出現。
その御姿は、片手に打ち出の小槌を掲げ、
もう一方に千両箱を抱えた財宝招来を示した
珍しいもの。商売繁盛のご利益もあらたかで、開運招福の福の神。
さっそく小山さんは一休庵の中に奉納して、朝に夕べに祈願するようになった。
その後の小山さんは目覚しい出世を遂げたのはいうまでもなく、
またその大黒天は今でも手厚く祭られているのした。
洛中随一の寺社が集まる界隈で精進料理を満喫して
高台寺 一休庵 いっきゅうあん
http://www.kyo-ryori.com/shop.php?s=4


大正年間より精進料理を供するこちらには
実に不思議な縁起があり、
庵を起工しようと土地を掘り起こしたところ、
なんと大黒天尊の像が偶然出現したのだとか。
写真右は、「名物の加茂なすの田楽」
写真左は、「松ヶ崎の大黒天」PR